緊張・あがりへの向き合い方



レベル別に理解し、演奏の質を高める


緊張は「克服するもの」ではない

緊張やあがりは、
できれば無くしたいもの、
できない自分の弱さ、
そう捉えられがちです。

しかし実際には、

  • 経験の浅い人にも
  • ある程度慣れてきた人にも
  • キャリアのある演奏家にも

必ず起こる現象です。

違いがあるのは、
「緊張しているかどうか」ではなく、
緊張とどう付き合っているか

レベルごとに、
やるべきことは変わってきます。


① 緊張をどう理解するか

初心者の場合

初心者は、
緊張を「失敗の原因」だと感じがちです。

  • ドキドキする
  • 体が言うことをきかない
  • いつも通りできない

👉 まず必要なのは安心です。

緊張は異常でも欠点でもなく、
体が状況に反応しているだけだと知ることで、
それ以上の不安が広がるのを防げます。


中級者の場合

中級者になると、

  • 緊張している自分に気づける
  • でも「気にしすぎて」演奏が乱れる

という段階に入ります。

👉 この段階で必要なのは
緊張と演奏を切り分ける視点

「緊張している=ダメ」
ではなく、
「緊張していても演奏は進められる」
という経験を積むことが重要です。


上級者の場合

上級者にとって、
緊張は消すものではありません。

むしろ、

  • 緊張がないと集中できない
  • 気持ちが入りきらない

という問題が起こることもあります。

👉 目標は
緊張を集中状態への入口として使うこと


② 体の反応への向き合い方

緊張時の体の反応は、
レベルに関係なく共通です。

  • 心拍が速くなる
  • 呼吸が浅くなる
  • 筋肉がこわばる

違うのは、
それをどう受け止めるかです。


初心者

👉 「起きても大丈夫」と知る
それだけで、反応は和らぎます。

知らない状態が一番怖いからです。


中級者

👉 体のどこに反応が出ているかを観察
肩・首・顎・指など、
具体的に言語化できるとコントロールしやすくなります。


上級者

👉 多少反応が出たままでも
**演奏できる範囲(許容量)**を知る。

完全な安定を求めすぎないことが、
結果的に安定につながります。


③ 思考の扱い方

緊張時に問題になるのは、
体よりも思考です。


初心者

  • 上手くやらなきゃ
  • 間違えたらどうしよう

👉 目標はシンプルに
「最後まで止まらずやる」

それだけで、
思考の負荷は大きく下がります。


中級者

  • 演奏しながら
    「今の音はどうだったか」
    と確認しがち

👉 ここでの課題は
演奏中に評価しないこと

評価は演奏後に回します。


上級者

  • 判断力が高い分、
    本番でも修正しようとしてしまう

👉 原則は
本番では判断しない

判断はすべて、
練習段階で終えておきます。


④ 呼吸の使い分け

初心者

👉 ゆっくり吐く
「落ち着こう」と思わなくていい。


中級者

👉 吐く=力を抜く
吸う=次への準備
この切り替えを意識する。


上級者

👉 呼吸を

  • フレーズ前のスイッチ
  • 集中の再起動
    として使う。

呼吸は調整手段であり、
表現の一部です。

▶ イラスト②(この章)

呼吸

内容案
呼吸→演奏→次のフレーズ
という流れの図
目的
呼吸の役割の深化を視覚化


⑤ 筋肉の扱いの違い

初心者

👉 一度力を入れてから抜く
「抜けた状態」を知る。


中級者

👉 部分ごとの調整
全身ではなく、
必要な場所だけを見る。


上級者

👉 力が入った状態から
どう戻るかを練習する。

完全に力を抜くことより、
回復力が重要になります。


⑥ ステージ上の意識配分

初心者

👉 自分のことで精一杯
それで問題ありません。


中級者

👉 音楽と周囲を同時に見る
姿勢・視線・立ち方が安定してきます。


上級者

👉 会場全体を含めて演奏
空気・間・流れを設計します。

▶ イラスト③(ここ)

内容案
意識の範囲が広がる3段階図
目的
視野と意識の成長を表現


⑦ 終わり方まで含めて演奏

初心者

👉 笑顔で終われれば十分。


中級者

👉 おじぎや立ち姿まで意識。


上級者

👉 終演後も含めて
一つの作品として完結させる


まとめ|段階に合った向き合い方

  • 初心者:安心をつくる
  • 中級者:切り替えを覚える
  • 上級者:設計して使う

緊張は、
レベルが上がるほど
扱える幅が広がる素材になります。

今の自分に必要なのは、
次の段階へ進むための
「一段上の視点」です。



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